法人化(法人成り)したら資金調達方法を知っておこう!
事業をやっているとお金が足りなくなることがあります。
それは決しておかしなことではなく当たり前のことです。
足りなくなれば借入をするのですが、借入のない会社なんてほぼありません。
借入以外にも方法はあります。
法人化(法人成り)したら資金調達方法を知っておきましょう。
お金が足りなくなっても慌てないようにしましょう!
簿記や税金の知識があってもお金はなくなる
事業をやっているとお金が足りなくなることはよくあります。
売上代金をなかなか回収できない、それでも仕入れや設備投資のためのお金は出ていく。。お金はなくても会計上は利益が出ていて税金の支払いも必要になって。
お金はないのに支払いが多く回らないということは普通に起こりえます。
簿記や会計の知識があっても同じ
お金がなくなるというのは、簿記や会計の知識があっても変わりません。
簿記や会計にものすごく詳しくてもお金がなくなるのは同じです。
決算書では利益が出ているのに実際のお金はない、こんなこともあります。
これは簿記や税金の知識をいくら学んでも解決はしません。
資金繰りの知識の方がよっぽど重要なのです。
資金調達方法の基本
お金が足りなくなったら倒産ですからどうにかしなければいけません。
お金の調達方法はいくつかありますので、いずれかの方法によりお金を用意する必要があります。
考えられるのは、
- 家族・親戚・知人から借りる
- 私募債や社債
- ベンチャーキャピタルなどから出資を受ける
- 補助金や助成金
- リースやクレジットなど
- 銀行借り入れ(日本政策金融公庫)
こんなところでしょう。
これらは比較的時間があるときの方法です。
家族・親戚・友人から借りる
家族などから借りるのは一番簡単な方法です。
身近な存在ですから事業計画書や事業の成功可能性が低かったとしても貸してくれるでしょう。
返せなくなったときには疎遠な関係になるでしょうが、自己破産してまで返せ!となることは少ない。
私募債や社債
借り入れのようなものです。
会社として債券を発行してお金を集める方法です。借入のようなものなので返済しないといけません。いろいろな条件があるので中小企業ではあまりありません。
私募債がたまに見かけるくらいです。
出資を受ける
出資は社債と違って返す必要はありません。
仮に事業がうまくいかなくて倒産することになったとしても返済は不要。
返済しなくていいのはメリットなのですが、その分、利益が出たら配当したり、下手をすると会社を取られてしまうこともありえます!大株主になられると社長の交代も出来ますから、ベンチャーキャピタルなどに出資を受けると気づいたら会社を支払いされていた、なんてことにもなりかねません。
中小企業だと現実的にはあまりないでしょう。
補助金や助成金
補助金などは該当するものがあったら是非とも申請した方がいい!
返済する必要のないものなので貰えるものはもらった方がいいです。
ただ、収入となるので税金の対象となるし何より入金されるのが非常に遅い!
申請書や届出などが必要で入金されるまでに何ヶ月もかかったりします。
すぐにお金が必要といったときには役立ちません。それでも返済が不要なので該当するものがあったら申請すべきです。
リースやクレジット
リースはいくらリース料を支払っても所有権はリース会社のままです。
メリットとしては銀行借入の枠を残したままにできることがあります。
何でもかんでも借入をして買うよりもリースで着るものはリースにしておくのもいいです。リース料は経費にもできます。
銀行借入
現実的にはこれが一番でしょう!
銀行や日本政策金融公庫から借りる。
「資金調達」というと真っ先に借入を思い浮かべますよね!
銀行借入も「今すぐ」には入金されません。申し込みや審査がありますので時間がかかります。
すぐお金が必要なときは
このままいったらお金が足りない!
資金繰り表などをつけていればいつお金が足りなくなるかわかります。
上に挙げたような方法は時間のかかるものなので、もっと早くお金が必要なときには次のような方法があります。
- 仕入れ先に支払いを待ってもらう
- 売上を早く入金してもらう
- 前受金としてもらう
- 持っている資産など備品を売る
- 売掛金担保にお金を借りる
- 消費者金融など(できればやめた方がいい)
支払いを遅らせる、入金を早めてもらう、が基本です。
支払いを遅らせてもらう
現実的にはこれが一番でしょう。取引先に連絡して支払いを遅らせてもらうのです。
注意点としては、必ず連絡をすること!
当たり前なのですが、意外と何も言わずに支払いをしていないこともあります。
当然ながら相手先も支払いをしてくれることをあてにしているので絶対に連絡しましょう!
小さい会社ほどこちらからの入金をあてにしているはずです。
支払いができないとわかった時点でなるべく早く連絡する。
早く相談すれば支払い期限を延ばしてくれるかもしれません。
給料は絶対に払う
少なくとも給料を遅らせることは絶対にダメです!
支払いを遅らせるのはあくまで取引先です。
従業員の給料を遅らせるようなことは絶対にしてはいけません!給料が遅れた、というだけで「会社が潰れるのでは」と思われます。
士気に関わってくるので給料は絶対に遅れず、最優先で払うくらいでないといけません。
売上の入金を早めてもらう
お願いしにくいから、と言って何も言わない社長もいます。
確かに期限よりも早く入金してください、とは言いづらいです。
でも、お金がない状況ではそんなこと言ってられません!
少しでも早く入金してもらえるようにお願いしてみましょう。
言いづらいとか言ってられません。
売掛金を担保に借りる
つなぎ融資というものです。
売上の入金が間に合わない、といった場合に利用するものです。
支払いが5日後なのに入金が10日後では間に合いませんよね。5日間足りません。
この期間のつなぎとしてお金を借りるのです。
上に書いたように、売上の入金を早めてもらうようにお願いするべきですが、どうしてもダメなら借りるという選択もあります。
消費者金融から借りる
絶対やめたほうがいいのですが、どうにもならないなら止むを得ません。
会社が倒産するよりはマシ、くらいのレベルです。
社長が消費者金融から借りてしまうと銀行からの借入が難しくなったりします。
ホントに最終手段、と考えておきましょう。
支払いができないときの優先順位
どうしてもお金が足りなくて支払いができないときには、優先順位をつけて支払うしかありません。
支払う順番は、
- 従業員の給与
- 仕入れ先(小規模なところから)
- 銀行返済
- 税金や社会保険料
- 役員報酬
の順番で支払いをしましょう。
従業員の給与は最優先
先ほども書きましたが、従業員の給料は最優先で払いましょう!
社内の人間だから、と言って支払いを遅らせることは絶対ダメですよ。
経営者には雇用責任があります!従業員を雇っている以上は重い責任があるのです。
小規模な仕入れ先から払う
授業員の給与の次は仕入れ先に支払います。
できれば、小規模なところから支払いましょう!
小規模な会社はあなたの会社からの入金が遅れただけで倒産してしまう可能性もあります。
大きな会社だったらあなたの会社の入金がなくても潰れることはないでしょう。(支払わなくていいわけではありません)
まずは小さい取引先から支払いをしましょう。
銀行への返済
銀行返済もしなければいけません。
返済できなかったりすると何かと厄介です。
今は少ないですが貸しはがしのように一括返済を要求されかねません。
次に借りたいと思ったときに、延滞した実績があると借りれらないこともありえます。
社長自身の給与を削ってでもなんとか返済する方法を考えましょう!
税金や社会保険料
税金や社会保険料の支払いは義務ですので、いくら資金繰りが苦しくても絶対に支払いは必要です。
とはいっても、現実としてお金がない以上は支払いはできません。
まずは給料、仕入れ先、銀行を優先すべきです。
支払えないときには税務署などに個別に相談する必要があります。
何も言わずに滞納していると差し押さえをされる可能性がありますが、ちゃんと相談していれば大丈夫です。大切なのは相談することです!ほったらかしは絶対だめですよ。
社長の仕事はお金を集めること
明日までにお金が必要!、、、こんな状態にならないことが大切なのですがやれることはやりましょう。
社長の仕事はお金を集めることです!
銀行は15時まで開いています。14時59分に入金しても入金は入金です。
仮に支払手形があってもちゃんと決済はされます。
支払い先に支払い期限の延長をお願いする。
売上の入金を早めてもらう。
自分の定期預金を解約する。
保険の契約者貸付金を使う。
知人から借りる。
カードローンを使う。
クレジットカードのキャッシング。
などなど、とにかくあらゆる可能性を考えてお金をかき集めるのが社長の仕事です。
途中で諦めてしまうと、どれだけの人に迷惑がかかるか。
こんなことにならないことが一番なのですが、本当にイザというときのためにカードローンなどは用意しておくのも手です。(くどいですが使わない方がいいんですよ)
経営者は孤独。お金の相談はできない
法人化(法人成り)すると個人事業主のときよりも取引先が多くなり扱う金額も多くなります。
社長としての一番大切な仕事はお金を集めること。
お金がない!という状況にならないことが大切ですが、イザという時にどうすればいいのかも知っておきましょう!
一番いいのは常に会計処理をして実際のお金と利益の状況を把握することです。
利益だけでなく資金繰りも考えないといけません。自分でできないのなら税理士にお願いしましょう!
報酬はかかりますが、お金の相談ができるのは税理士くらいです。いくら良く働いてくれているとは言っても従業員にお金の相談をしてはいけません。
「資金繰りがやばい」なんて相談したら辞められてしまうかもしれません。
経営者は孤独と言われますが、相談相手として税理士にお願いしてみましょう!
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