税務調査では早く終わらせるために落としどころを考えておくことも大切
税務調査は間違っているものなどを見つけることが目的なのですが、領収書などを一つずつ確認していたらものすごく時間がかかります。
そのため、最初から落としどころを考えてきている場合があります。
(この記事について簡単にお話ししました)
税務調査の終わりは?
税務調査が始まると当然ながら終わりもあります。
税務調査の終わりとは税務署の調査官がもうこれ以上調べる必要がないと判断したところで終わりになります。
調査官の調査が終わったところで何も修正することがなければそのまま終わりです。もし間違いなどがあったら修正することになります。 領収書や請求書を見て「間違い」だと判断されるわけです。 ところが、調査に来る前から修正する事項を決めていているケースがあります。
つまり、落としどころを決めてきていることがあるのです。
税務調査の落としどころ
税務署が税務調査に来るには何かしら理由があります。 初めから脱税などの不正を掴んでいることは稀ですが、パッと見て怪しい・明らかに間違えているものなどはわかります。
単純な計算間違いなどは電話や手紙などで修正を促されます。そうではなく、明らかにおかしいもの(例えば業種的に経費が多すぎる等)の場合には調査に入られることになります。
このような「経費が多い」などの場合には、税務署側で落としどころを提案してくることがあります。
早く税務調査を終わらせるために
実際に落としどころを提案されたことがあります。
午前中に概況などの確認をしてある程度話が終わったところで「調査に来た理由をぶっちゃけてお話していいですか?」と切り出してきたのです。
理由を聞いてみたら「経費が多いです」と言われました。 同業者と比べて経費が多いから調査に来た、ということです。
このケースの場合、税務署側から「こことここを修正してくれたらそれで調査は終わりにします」といってきました。
まだ領収書や請求書などを何も見ていない段階でこのように持ちかけてきました。 税務署側としては、領収書を一枚一枚キッチリと調べてもいいけど時間かかりますよ?といってきているわけです。
この修正に応じてくれたら細かくチェックはしない。応じないならキッチリ調査すると。
時間をかけてキッチリ調査されるか、多少税金が発生しても早く終わらせるか、どちらかを選択することになります。
脅しのようにも聞こえますが決してそんなことではありません。 同業者と比べて経費が多くても実際に経費がかかっているのならまったく問題ありません。
調査してもらっても領収書などがちゃんと残っていれば何も問題はないのです。
ただ、税務調査は精神的にもかなりの負担となります。 少しくらい税金が発生しても早く終わらせてもらった方がいいと考える方もたくさんいます。 今回のケースも納税者の方が早く終わらせたいと考えていたので税務署の提案に従いました。
具体的に提案されたもの
今回のケースでは、交際費・減価償却の割合・専従者給与について指摘がありました。
交際費を半分、減価償却の使用割合を減額、専従者給与を0に。
専従者給与は0になっても配偶者控除(38万円の控除・扶養みたいなもの)となります。
大きいのは交際費でした。 先述したように領収書などを全く見ずに「半分にしてくれ」といってきたのです。
もちろん領収書は全部保管してありますのですぐに見せることができる状態でした。それにもかかわらず見なかったのです。
個別の経費性は問題ではなかった
このような指摘をされたときには当然ながら反論します。 「交際費を半分にしろと言われても実際に使っている」「専従者は本当に仕事をしているのに0はおかしい」と主張すべきものはちゃんと言いました。
ただ今回のケースでは、個別の経費性は問題ではなかったのです。
専従者給与を認めてもらっていたら別の項目(消耗品など)を減らしてくれと言ってきたでしょう。
税務署が交際費・減価償却・専従者給与を言ってきたのはただ単純に修正しやすいからです。
まとめ
ここまで書いてきたように税務調査では「落としどころ」を決めてきている場合もあります。
もちろん本当に経費として使っているのなら時間はかかりますが、すべてを調査してもらった方がいいこともあります。 早く終わらせるためにこのような方法もあるということです。
私もご相談をお受けしております。
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