売上が間違っている・除外している・誤魔化している場合の税務調査対策
税務調査では売上げは必ず重点的に調査されます。
売上げが違っている場合には対策が必要です。 特に修正申告はした方が良いでしょう。
売上げが間違っている場合の対策
(この記事について簡単にまとめた話をしています。) 動画の下にこの記事の続きがあります。
税務調査では売上げが一番重点的に調査されます。 必ず間違いは発見されます。 事前に売上の間違いが分かっている場合には、
- 事前に修正する
- 間違えていた原因を説明できるようにする
- 税理士に依頼する
- 嘘をつかない
以上のことをしておいた方がいいです。
繰り返しますが、税務調査で一番最初に調査されるのが売上です。 間違えていると絶対に指摘されますので、間違えている場合は事前に対策をしておきましょう。
事前に修正申告をしておく
間違えている金額にもよりますが、金額が大きい場合は事前に修正申告をしておくのも一つの方法です。 理由としては、
- 余計な加算税を減らすため
- 早く税務調査を終わらせるため
です。
修正申告をするかどうかで税務調査の結果は大きく変わります。
もし売上げを誤魔化してしまっているなら修正申告をした方がいいのは間違いありません。
間違いがあると加算税がかかる
税務調査で間違いが指摘されると加算税がかかります。
加算税はよく「罰金」と言われるものです。
過少申告加算税と重加算税のどちらかがかかります。
ケースによっては一部分だけが過少申告加算税で残りは重加算税ということもありえます。 過少申告加算税は原則10%、重加算税は原則35%です。
簡単に言うと、計算間違いなど単純な間違いは過少申告加算税です。 売上除外など脱税のようなことがあると重加算税です。
仮に100万円の税額が発生した場合に ・過少申告加算税は10%なので10万円。 追加の税額である100万円と合わせて110万となります。 ・重加算税は35万円。
追加の税額である100万円と合わせて135万円となります。 追加の税額が100万円ではなく200万円、300万円となれば加算税ももっと増えてしまいます。
(わかりにくいかもしれませんが国税庁HPに重加算税についての記載があります。)
→ 国税庁
脱税などがあると調査期間が7年間となりますから、さらに負担が増えることとなります。
過少申告加算税となるか重加算税となるかで数十万円、数百万円もの違いがでてくるのです。
参考→ 税務調査で重加算税になるもの・ならないもの。知っていれば防げるものもある
修正申告で加算税が変わる
売上げを除外している場合には重加算税となってしまいますが、事前に修正申告をすることにより加算税を減らすことができるケースもあります。
事前に修正申告をするのは税務調査で指摘されたわけではなく、あくまで自分から自主的に修正したことになるのです。
売上を除外していると重加算税として35%かかりますが、事前に修正した場合は5%となります。
以前はまったくかからなかったのですが改正があり5%はかかるようになってしまいました。
それでもかなりの減額となります。
参考→ 重加算税など罰金の改正。罰金が増えないように事前の修正申告を!
仮に100万円の税額が発生すると35%だと35万円の重加算税ですが、5%だと5万円です。
さらに1年だけでなく3年分、5年分ともなると何十万円、何百万円と変わってくることもあります。
売上の間違いが大きいなら修正申告をしておいた方がいいでしょう。
(売上漏れについて簡単にお話しました)
税務調査の連絡があってからでも修正申告できる
修正申告は税務署から税務調査の連絡があってからでも行うことが可能です。
税務署から連絡があってからでは修正申告できないと思っている人もいますが、そのようなことはありません。
修正申告することは可能です。
税務署の調査官から「修正申告しないで」と言われることもあります。 ですが、それはあくまで調査官の都合ですので気にしなくても大丈夫です。
税務署の調査官が「修正申告するな」とは言えませんから、修正申告をする必要があるのであればした方がいいのは間違いありません。
修正申告は税務調査の前に
ただそれはあくまで税務調査「前」のことです。
税務調査が開始された後では修正申告はしない方が良いでしょう。
税務調査が開始された後では加算税に影響しないため影響がありません。
さらに税務調査で修正すべき事項があるともう一度修正申告をしなければいけなくなります。
単純に手間が増えてしまうというということになることも。 売上げの誤魔化しがあったとして、税務調査が開始された後に修正申告をしても重加算税となります。
それは税務署から指摘されたから、ということだからです。 税務調査の開始前であれば税務署から指摘される前に自主的に修正申告をしたとなるので、加算税が変わってくるのです。
更正の予知(間違いを指摘されることを予想)
税務調査が開始される前に修正申告すれば重加算税ではなくなる可能性があります。
ただ、気をつけなければいけないのは「更正の予知」です。 更正の予知というのは、間違いを指摘されることを予知していたということです。
つまり、税務署から間違いだと言われることを予想していたかどうか、です。
間違いを指摘されることを予想していたのだから自主的に修正申告したとはいえない、という判断をされることがあるのです。 それを「更正の予知があった」と言われます。
この更正の予知は非常に判断が難しいところなので、もし税務署から「更正の予定があった」と指摘されたら税理士に相談された方がよいでしょう。
知っておいていただきたいのは税務署から税務調査の連絡があっただけでは更正の予知があったことにはなりません。
税務署から「税務調査を行いたい」と事前通知があっただけでは間違いを指摘されることを予想できないですよね。
税務調査が始まって実際に資料を確認するなどしているのであれば間違いを指摘されることを予想できたと判断されますが「税務調査を行いたい」と連絡があっただけでは更正の予知があったとはなりません。
実際にあったのは「売上げを誤魔化していたのだから間違いを指摘されることはわかっていましたよね」と言われたことがあります。それで重加算税だと言われました。
ただ、このケースでは調査開始前に修正申告をしていたのです。 調査開始前に修正申告をしていたのにもかかわらず「間違いを指摘されることを予想していたでしょ」と言われたのです。
たしかに売上げを誤魔化していれば間違いを指摘されるだろうことはわかります。 ただ「税務調査の連絡があっただけ」では更正の予知があったとはならないのです。
税務調査の連絡がある前に反面調査などをされていて、明らかに間違っているとわかっているような場合は更正の予知があったとなります。
一例をあげましたが、このように税務調査前に修正申告をしても重加算税だと言われることもありますから慎重な対応が必要となります。 本当に重加算税となるのか、要件に当てはまっているのか、は検討する必要があります。
おかしいと思うのであればその旨を主張しなければいけません。
消費税が無申告になっていないか?
売上げの間違いで多いのが「実際は1,000万円を超えているけど900万円くらいで申告していた」というケース。
売上が1,000万円を超えると消費税の納税義務が発生します。 本来は消費税の申告をしないといけないのに申告をしていない場合は無申告となってしまいます。
無申告となると加算税が変わりますので、消費税の申告が必要だとわかったら事前に申告しておくようにしましょう。
参考→ 税務調査は売上が1,000万円未満でも来る!特に消費税に注意
消費税については本当に注意しなければいけません。
消費税は2年前の売上げが1,000万円を超えると納税義務が発生します。 2021年に消費税の納税義務があるかどうかは2年前の2019年の売上金額を確認する必要があるのです。
2021年に税務調査が行われる場合には5年間だとすると2016年から2020年の5年分が対象となります。
2016年の消費税納税義務があるかどうかは2014年の売上金額で判定することに注意しましょう!
上記の例で2014年の売上金額を誤魔化してしまっているような場合であっても、実際の売上金額で判定することとなります。
2014年の売上げを900万円で申告していても、実際が1,200万円であれば1,000万円を超えているわけです。
となると2年後の2016年は消費税の納税義務があることとなります。 確定申告している売上金額ではなくて実際の売上金額で判定する必要があるのです。
確定申告は900万円で申告していて1,000万円を超えていないのに消費税の申告をするのはおかしいのではないか?と思われることもあります。
確かに2年前の申告が1,000万円を超えていないのに消費税の申告書を提出するのはおかしいと思われますが、実際の売上げが1,000万円を超えているのであれば消費税も申告すべきです。
確定申告した売上金額が間違えているのであれば、実際の売上金額で判定する必要があるのです。
実際は1,000万円を超えているのに消費税の申告をしていないと税務調査の際に指摘されます。
税務署は提出された確定申告書の売上金額そのままで判定するのではなく、実際の売上げがどうであるか調べます。
1,000万円超えたら消費税を支払うことを知っていたか?
本来の売上げが1,000万円を超えているのに900万円などで申告していると聞かれるのが「消費税の納税義務について知っていたか?」です。
消費税の納税義務はどうすれば発生するか?を知っていたか。 どういうことかというと「売上げが1,000万円を超えたら消費税を支払うことを知っていたか?」ということです。
なぜこのようなことを聞いてくるかというと、知っていて支払いを免れていたのかどうかを知りたいからです。
わかっていて支払わないようにしたのか、それとも知らなかったのか。 わかっていて支払わないようにしたのであれば、消費税についても重加算税となります。
当然ながら「知っていて支払わなかった」方が重い加算税となります。
重加算税は所得税と消費税に別々に
先ほど重加算税について説明しましたが、補足しますと重加算税は所得税と消費税でそれぞれ判断されることとなります。
つまり、 ・所得税だけ重加算税になる ・消費税だけ重加算税になる ・所得税と消費税の両方とも重加算税になる などのケースがあるのです。
少し上で書いたように「1,000万円超えたら消費税を支払う」ことを知っていてそれを免れるために売上げをごまかしていたのなら消費税も重加算税の対象となります。
なのでこのようなケースでは、所得税と消費税の両方で重加算税となるので非常に負担が重くなるわけですね。
税務署は消費税も重加算税の対象ではないか?と検討するわけです。 実際にこのように両方とも重加算税となることも多くあります。
所得税と消費税の両方で重加算税とならないようにするためにも、税務調査の前に修正申告をすることが非常に重要となってくるのです。
早く終わらせるために修正する
修正申告をするもう一つの理由は調査を早く終わらせるためです。 修正申告をしたとしても、その修正申告が本当に正しいのかの調査をされます。
ただ0から調査をするよりは一度見直しをしていた方が早く終わるのは間違いありません。
過去の資料を見返すことで思い出すこともあるでしょうから税務署の質問にも回答できるようになります。
間違えた原因を回答できるように
売上げが違っている場合はなぜ違っていたのかの原因を調べましょう。 なぜ事実と違う金額で申告していたのかを回答できるようにしておく必要があります。
税務調査でも確実に聞かれます。
- 通帳の入金を電卓で合計していたが、おそらく電卓を打ち間違えてしまった
- 現金でもらっていた分が抜けてしまっていた
- 支払調書があるものだけを入れていた
- 請求書を一枚抜かして集計していた
- 期間のズレがあった(1月の入金分が本当は前年12月分だった)
などなど。
もし、税金を減らすためにわざと売上げを除外していたのならそれも正直に伝えるべきです。
過去のものですのでどうしてもわからない場合は仕方ありませんが、できるだけ調べて原因を把握しておくようにしましょう。
税務調査のためだけでなく、今後の確定申告で同じような間違いをしないためにも原因は把握しておいた方がいいです。
辻褄が合わないと大変
売上げを間違えた理由で辻褄が合わない話をしてしまうと大変です。
税務署とすれば正しい金額に修正してもらえばそれでいい、というわけでもないのです。
なぜ間違えたのか?も確認されます。
間違えた理由を伝えて辻褄が合わないと何度も繰り返ししつこく質問されることとなります。
実際にあったのは「通帳の金額を集計しました」と回答したことがあります。
帳簿をつけておらず通帳をみて電卓で売上げを集計したと回答したのです。
本来は帳簿作成をしなければいけないのですが、通帳を見て直接電卓で計算するのは珍しいことではありません。
ところが、このケースでは通帳が合計記帳となっていて明細がまったくわからなかったのです。
銀行の通帳は一定期間に記帳されていないとまとめた金額が記帳されてしまいます。
銀行の窓口で手続きをすれば明細を取得することはできますから、合計記帳となってしまった場合は窓口で手続きする必要があるのです。
ですが、このケースでは明細を取得しておらず合計記帳された通帳しかありませんでした。
合計記帳となっており明細がまったくわからないのにどうやって売上げを計算したのか? この点をずっと突っ込まれることとなりました。
納税者は最後まで「通帳で集計した」と同じ主張を繰り返しました。 結局、税務署は虚偽の回答をしていると判断し厳しい対応をされることとなったのです。
脱税をしていたことは正直に言う
もし売上げが間違えている理由が脱税だったとしても嘘をつかず正直に伝えたほうが良いです。
「税金の負担を減らしたかった」と正直に伝えましょう。 正直に伝えて大丈夫か?と思われるかもしれませんが、下手に嘘や事実でないことを告げて辻褄が合わなくなってしまう方がマズイです。
先ほど述べたように、修正申告をしたうえで正直に伝えること。 修正申告をしたうえで「税金の負担を減らしたかった」と正直に伝えることが一番すんなりと進みます。
調査官はなぜ売上漏れがあったのか?の理由を知りたいのです。 調査官は上司に売上漏れがあった理由を説明しなければいけません。 そこで上司にしっかりとした説明ができないと何度も聞き取りを行わないといけなくなってしまうのです。
毎年毎年、何百万円も売上金額が少なく申告しているのに「ただの計算間違いでした」では通用しません。
計算間違いであれば毎年間違えるのもおかしいですし、毎年少なく申告するのもおかしいです。
計算間違いなら逆に売上げを多く申告している年もあるはずです。 もし、脱税してしまっていたとしても下手な嘘をつかずに正直に伝えましょう。
嘘が発覚したり、辻褄が合わないような話をしてしまうことが一番いけません。 修正申告をして正直に話す。 これが重要です。
税理士にも嘘をつくと重加算税に
嘘をつかないというのは税務署だけでなく税理士に対しても同じです。 売上げを誤魔化してしまっているとどうしても正直に言うことができないこともあります。
ですが、嘘をついてしまうと余計に負担が重くなってしまいます。 実は税務署だけでなく税理士に対して嘘をついても重加算税の対象となってしまうことがあります。
実際に私も経験したことがあります。
売上げが入金されるのは一つの通帳だけで他にはない、と伺っていたのですが実際は他の銀行にも入金されていることがありました。
ずっと「売上げはこの通帳だけ」と話をして進めていたところ、実際は他にもあったのです。
事情を伺うと「別の銀行口座の売上げをずっと除外していたので言いにくかった」ということでした。
このケースでは事前に修正申告をしていたのですが、この別口座の売上げは除外したままだったので結果的に重加算税となってしまったのです。
言いにくいことはあるかもしれませんが、税理士に対しても嘘はつかないようにしていただいた方がいいです。
一度でも不正があると調査は7年?
非常に厳しいお話なのですが、一度でも不正があると調査期間は7年間になってしまう可能性があります。
脱税などがあると「重加算税」「調査期間が7年」になるのですが、この二つはセットではありません。 重加算税になれば絶対に調査期間が7年になるというわけではないのです。
・重加算税は仮装・隠ぺいがあった場合です。
・調査期間が7年になるのは「偽りその他不正の行為」があった場合です。
仮装・隠ぺいは領収書を書きかえたり調査官の質問に嘘をついたり隠したりすることです。
参考 → 7年間になった事例と対策
偽りその他不正の行為
偽りその他不正の行為というのはまさにそのままの意味です。 偽りや不正の行為のことをいいます。
イメージとしては脱税行為のことです。 偽りその他不正の行為に該当することをやってしまうと、仮に修正申告をしたとしても調査期間が7年間になってしまう可能性があります。
税務調査の前に修正申告をすれば重加算税の可能性を下げることはできます。
ですが、調査期間が7年間となってしまうこともあるのです。 偽りその他不正の行為は査察など大きな案件の場合だけと思われることもありますが、そうでもありません。
実際に個人の税務調査でも調査官から指摘されることもあります。
本当に「偽りその他不正の行為」?
ここで問題となるのが重加算税のときと同じで本当に「偽りその他不正の行為」に該当するのかどうかです。
もし「偽りその他不正の行為」だといわれても本当にそうなのか?を判断しなければいけません。
税金の徴収を不能にするような何らかの偽計その他不正の行為、などどいわれることもあります。
この判断は非常に難しいので税理士に相談されたほうがよいでしょう。
重加算税だから調査期間が7年?
まれに調査官から「これは重加算税になるので調査期間が7年になります」と言われることがあります。
これは先ほど述べたように誤りです。 重加算税になるのと7年になるのは要件が違うのです。
これもしっかりと反論しないと言われたままの扱いになってしまうので注意が必要です。
細かい要件まで把握するのは大変ですから「重加算税になるから7年になるのは違う」と覚えておいた方がよいでしょう。
(税務調査のセミナーをしました。参考にしてみてください) → 【動画です】税務調査における対応・交渉のポイント
質問応答記録書の対応
税務調査において脱税などが疑われる場合には「質問応答記録書」が作成されることがあります。
質問応答記録書は調査官の質問とそれに対する納税者の回答を記録するものです。
これは調査官が自分でメモするものとは違って正式な記録となるものです。
後になってから「言った言わない」をなくすためのもので証拠となるものです。
正式な記録として残りますし、証拠となるものなので作成する場合には慎重に対応しなければいけません。
売上除外など脱税行為がある場合には質問応答記録書を作成されることが多いです。 作成するのは税務署側です。 調査官が聞き取りした内容をもとに作成することとなります。
調査官が作成したものを読み上げてもらい内容を確認したうえで問題がなければ署名することとなります。
質問応答記録書は内容の訂正ができる
質問応答記録書は税務署側で作成するものですが、一方的に作成されてしまうわけではありません。
作成した後に内容を確認することができます。 内容を確認したうえで、事実と違うことがあれば訂正してもらうことができます。 内容が違っていれば訂正してもらえるので、しっかりと確認しなければいけません。
「税金の負担を減らすために売上除外した」と書かれていたとするとそれが本当に事実なのかを確認しなければいけません。
事実はただ計算間違いしただけであるならそれを主張しないと記録として残ってしまいます。
非常に難しいところですが、文言についても注意しなければいけません。 資料を「紛失」したのか「破棄」かでも違います。 「破棄」だと意図的に捨てたと判断されて重加算税になってしまう可能性もあります。
質問応答記録書は重加算税を検討しているときに作成される印象があります。 そのため書面の内容については本当に慎重に確認しなければいけません。
署名は断ることができる
質問応答記録書は最後に署名押印を求められます。 質問応答記録書の「内容を確認して問題なかった」として署名押印を求められるのです。
この署名押印は断ることもできます。
署名押印は強制ではなく任意なのです。 ただ、調査官はあたかも強制のような形で「署名押印してください」と言ってきます。
署名押印が任意であることは説明してくれないこともあります。 実際に、こちらから「任意ですよね?」と言わないと任意であることを説明してくれないこともありました。
署名押印を断った場合には断った理由を書かれることもあります。 先ほど説明したように質問応答記録書は脱税、重加算税の可能性があるときに作成されるものですし後々で証拠ともなるものです。
署名押印をするかどうかも慎重に検討しなければいけません。 署名押印は任意であることは覚えておきましょう。
税理士に依頼する
税務調査の立ち会いだけでも税理士に依頼することは可能です。 売上の間違いが大きいと税務調査は長引く可能性が高いです。
先述したように税務署は売上の間違いは一番重視しています。 その売上が大きく違っていると当然ながら調査も厳しくなります。
税務署とのやり取りも増えてきますし長引くことが多いので、可能であれば税理士に依頼をしましょう。
相談されるのであればできれば税務調査前のほうが良いです。 税務調査が始まってからですとできることが限られてしまうからです。 ここまで説明してきましたように修正申告もそうですよね。
税務調査の前に行うことが重要です。
自分で判断できるかどうか
ここまで説明してきましたように判断が難しいところもあります。
・本当に重加算税の対象となるのか
・本当に調査期間が7年間となるのか(偽りその他不正の行為になるのか)
・質問応答記録書の文言は問題ないのか
・税務署が指摘してきた間違いは本当に修正が必要なのか
などです。
これらを経験のない方が自分で判断するとなると難しいものです。
本来はよくないことですが、重加算税の対象とはならないと思われるのに税務署から言われてそのまま重加算税になってしまったケースも見てきました。
税務調査が終わってからご相談をいただいたのですが、すでに調査が終わってしまっていたこともありどうにもできることが限られてしまっていました。
別のケースでは、 売上漏れがあるので調査期間が7年になると告げられたことに対して「偽りその他不正の行為に該当しないのではないか」と反論を続けて、7年にはならずに終わったこともあります。
単純な売上漏れだけでは重加算税にもなりませんし偽りその他不正の行為にもなりません。 (意図的な売上除外など脱税行為は別です。)
調査期間が5年か7年かでは大きく負担が変わりますから、このような判断・対応を自分でできるかどうかを考えていただくこととなります。
参考 → 税務調査は一人で対応できる?
税務署は税理士を入れて欲しい
とある税務署の調査官から聞いた話なのですが、税務署側は税理士に入ってほしいと考えているようです。 税務調査の本来の目的は「今後ちゃんとした申告をしてもらうための指導」だからです。
税理士が入り青色申告にしてちゃんと申告してほしいと考えているのです。
実際に「今後は税理士が入りちゃんとやってくれるだろうから、今回はこれでいいです」と調査官に言われたこともあります。
税務署側も交渉の中でのことと考えているのかもしれないので、どこまで本心かはわかりませんが実際にこのように言われたことが何度もあります。
事前に修正申告を提出した場合も「税理士が目を通しているだろうからこれでいいです」となったこともあります。
もう一度税務調査が行われても大丈夫なように
間違いは誰にでもあるものです。
単純な計算ミスなどは次からはミスをしないようにすればいいですし、仮に売上げを故意に抜いていたりごまかしていた場合も今後はキッチリ申告をしましょう!
連絡が来てしまった税務調査は仕方ないので今後はちゃんとやればいいだけです。
避けるべきなのは、数年後にまた税務調査に入られること。
・一度来たらまた来る
・数年おきに来る
・一度来たらもう来ない
などいろいろな噂を聞きますが実際のところはどうなるかわかりません。
数年後にまた調査が来たこともありますし、まったく来ないケースもあります。
大切なのは来られないように、来たとしても何も問題がないようにちゃんと申告をしておくことです。
相談できないとは思わずに
税務調査はただでさえ精神的に嫌なものです。
まして売上が違っているなどあらかじめ間違いがわかっている場合はなおさらです。
売上げの間違いは重視されます。
厳しいお話も書いてしまいましたが、修正申告をして正直に話すことが非常に重要です。
なるべく負担を減らすため、早く終わらせるために対策しましょう!
売上除外をしている、帳簿がない、領収書がないなど何かしら問題があると思っている人ほど税理士に相談しにくいと考えているようです。
怒られる・恥ずかしいなどと考えられてしまうようです。 私は「ちゃんと確定申告できていない人」こそ相談していただきたいと考えています。
仮に売上除外など脱税をしてしまっていても、これからしっかりと確定申告をしていけばいいのです。
相談しにくいなどと考えずに「ちゃんとできていない」と思われるのであればぜひ税理士に相談してみてください。
参考 → やましいことがあるときこそ相談を!
私もご相談をお受けしております。
売上げが違っているケースのご相談は非常に多いです。
お困りの際はご相談ください。
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