ヤフオク出品マスターの税務調査の特徴と対策
ヤフオクを利用している人にも税務調査はあります。
注意点などを書きます。
取引履歴の保存、Yahoo!ウォレットに注意が必要です。
ネットビジネスにも税務調査はある
税務署はネット関係に弱いというのはもう昔の話であり、今はネットを利用した収入を得ている人にも税務調査があります。
ヤフオク、メルカリ、ブログ、アフィリエイトなどネットビジネスに関しても税務調査はあります。
2019年に国税庁が発表した資料によると無申告とネット取引に対する税務調査を強化していると書かれています。 ハッキリと力を入れていると書かれているわけですから、税務署がネットに弱いというのは過去の話です。 会社員の副業レベルから事業と言えるくらいの規模まで様々な税務調査が行われています。
ネットビジネスの場合は収入を現金でもらうことはなく、何かしらの記録が残ります。 無申告のケースが非常に多いのですが何かしらの記録をもとに税務調査を進められることとなります。 ネットビジネスだから税務署に把握されない、と考えるのは危険です。
ヤフオクの税務調査の特徴
ネットビジネスで代表的なのがヤフオクですので、この記事ではヤフオクの税務調査について書いてみます。
特徴をあげると、
- ネット専門の調査官である情報技術専門官が担当となることが多い
- 取引履歴は必ず確認される
- IDはすべて把握されていると思った方がいい
- 出品、落札、発送までの流れを確認される
- 出品しているモノの管理状況(何をいくつ出品しているのか)
- 落札後の管理状況(どれが入金されたのか、どれをいつ発送するのか)
- 在庫の管理(どの商品がいくつあるのか、どこに保管しているか)
- 評価も確認される
- Yahoo!ウォレットの残高も確認する
このような項目に注意が必要です。
情報技術専門官が担当
ヤフオクに限りませんが、ネットビジネスの税務調査を専門にしている調査官がいます。 情報技術専門官というものです。 ネットビジネスを専門としているだけあって当然ながらかなりの知識があります。 何度も書きますがネットに弱いというのは過去の話です。
ただ、情報技術専門官はすべての税務署にいるわけではありません。 東京でも数か所、千葉や埼玉は1か所の税務署にしかいません。
千葉だと市川税務署にしかいないので市川税務署の情報技術専門官は千葉県全域を調査対象としています。 そのため、情報技術専門官ではなく一般の調査官が担当となることもあります。
出品・落札・発送の流れ
どうやって出品するのか。 落札された後のやり取り。 入金後の発送。 こられの流れについて一通り確認されることとなります。 実際に管理画面などを見ながら調査を進めることとなります。 このあたりは事実を伝えればいいのでそれほど問題にはなりません。
IDはすべて把握されている
税務調査の際にIDを教えてくださいと言われます。 場合によっては紙に書いてくださいと言われることもあります。 ですが、事前に把握されているケースがほとんどです。 事前にIDや出品しているモノを確認してきていることが多く、確認のためにIDを聞いてくるのです。 実際にあったケースでは本人も忘れているようなかなり昔に作ったIDを把握されていることもありました。
紙にIDを書いたところ「他にもありますよね」と言われて本人も忘れていたIDを伝えられたのです。 IDはすべて把握されていると考えた方が良いですので、隠そうとするようなことはやめましょう。
他人名義のIDを使用している場合
他人名義のIDを使用しているケースがありました。 自分のIDが何らかの理由で凍結されてしまい仕方なく知人名義のIDを使用していたことがあります。
IDが他人名義なので入金される銀行口座も他人名義の口座となります。 このようなケースの場合にはなぜ他人名義を使用したのかを明確に説明する必要があります。
悪く考えれば、他人名義のIDを使うことで隠したり誤魔化そうとしたのではないかと思われてしまうからです。
管理状況の確認
出品数が多くなるとそれらをどのように管理しているのかを聞かれます。 どの商品が出品中なのか。 落札された商品の入金管理。
どれを発送したのか。
出品数が多ければ何かしら管理しているはずだということでその管理状況を確認されます。
在庫の確認
在庫についても聞かれます。
出品数が多くなればどのように保管しているのか、管理状況を問われます。 自宅で保管しているのか、倉庫を借りているのか等。
個人の場合は12月末時点での在庫を把握する必要がありますので、その時点での在庫金額についても調べられることとなります。
あまりにも出品数が多く正確な金額を把握することが困難な場合には推定で計算することもあります。 実際にあったのは12月末の数字を把握するのは無理なので調査日時点の在庫で計算されたこともありました。
物品を販売している場合には必ず在庫はチェックされます。
評価もチェックされる
ヤフオクの場合は一定期間しか取引履歴が確認できません。 そのため、印刷するかデータで保管していないとすべての取引を確認することができません。
税務調査で問題となるのは、申告の内容が正しいかどうかです。 おおよその見当をつけるために年間でどれくらいの取引数があるのかをチェックします。 1件の利益金額とおおよその件数がわかれば収入金額の予想ができるからです。 ヤフオクの場合に困るのが過去の取引履歴が確認できないので、年間にどれくらいの取引数があったのかが把握できないことです。
そこでチェックされるのが評価です。 評価を見ることでどれくらいの件数があったのかが把握できるので必ず評価もみられるのです。
Yahoo!ウォレット
Yahoo!ウォレットもチェックされたことがあります。
ヤフオクで落札された代金が銀行口座に入金されれば銀行をチェックすればいいのですが、Yahoo!ウォレットに入れたままだと銀行口座をみても確認できません。
そのため、Yahoo!ウォレットもチェックされるのです。 確定申告する際にも注意が必要です。 銀行口座の入金金額をもとに収入金額を計算しているケースもありますが、Yahoo!ウォレットに残っている金額を集計し忘れてしまうと申告もれとなってしまいます。
銀行口座の入金額だけでなく、取引履歴などと付け合わせして集計するようにすべきです。
税務調査対策
税務調査の対策としては、
- しっかりと確定申告をしておく
- 取引履歴などをデータでもいいので保管しておく
- できれば売上と仕入の対応がわかるものを作っておく
- Yahoo!ウォレットに注意する
といったことがあげられます。
まず、無申告は絶対にダメです。 確定申告をしておくことが一番の税務調査対策となりますから必ず申告はしておきましょう。 期限が過ぎてしまっても申告は可能ですから無申告となってしまっている場合は早急に申告すべきです。 取引履歴などもできるだけ保存しておきましょう。
スクリーンショットでもいいので保存してあるかどうかで調査の進み具合が違います。 税務署が気にしてくるのが、売上と仕入の対応関係です。 この日に仕入をしたモノがいつ・いくらで売れていくら利益が出たのか。
このような情報を知りたがりますし、管理表のようなものがあると税務調査もスムーズです。 税務調査のためだけでなく、どれがどれくらい利益となったのかを知るためにも作成しておいた方が良いでしょう。
Yahoo!ウォレットには気をつけましょう。 確定申告をする際に銀行口座を元にしていれば大きな問題となることはないでしょう。
銀行口座に入金される金額が手数料が引かれた後の金額であると正確な売上金額とは異なってきますが、大きな問題とはなりません。
怖いのはYahoo!ウォレットに残っていた金額を売上げに含めずに申告して売上もれとなってしまうことです。
手数料・配送料は認めらもらうように
ヤフオクの手数料や商品の配送料は取引数がわかればそれに基づいて大まかな金額を算定されることとなります。 資料が残っていれば計算根拠とつけあわせして正しいかどうかのチェックをされますし、何も資料が残っていない場合は取引数から算定します。
ヤフオクの場合は必ず手数料と配送料はありますから、それらの金額算定のためにも取引数の把握は非常に重要となります。
何も資料が残っていないから経費として認められないなんてことはありません。 取引数がどの程度なのか推量できる資料は用意しておきたいところです。
交際費は厳しい
食事代などを交際費として経費にしていることがありますが、経費として認められるのは難しいです。 交際費は仕事を取るための経費となります。
ヤフオクの場合ですと取引先を接待して、ということがありませんから仕事を取るための経費として認められるのは難しいでしょう。
稀に勘違いされている人もいますが、自分の食事代は経費にはなりません。
仕入の証明ができるように
取引数が多くなってくると大変なのが仕入金額の把握です。 仕入なのか自分用に買ったのかが区別つかなくなってしまうことがあります。
実際にあったのは、洋服を販売していたケース。 服を仕入しヤフオクで販売していたのです。 服を購入した履歴は領収書やクレジットカード明細で確認できるのですが、それが仕入なのか自分で着るための服なのかの判別がつかなくなってしまっていたことがあります。
当然ながら販売するために仕入をしたのであれば経費になりますが、自分で着るためであれば経費にはなりません。 さらに、自分である程度着た後に古着として販売した場合の取り扱いも問題となります。 売るためのもの、自分用のものをハッキリと区別できるようにしておくことが重要です。
わかりやすかったのは、男性が女性ものの洋服を販売していたケース。 購入した際に女性ブランドのお店だったり領収書やレシートで女性の服であるものは仕入であるとすぐに判別できました。
何かしらの方法で仕入をわかるようにしておくことが非常に重要となります。 仕入も必ず発生する費用です。 仕入がなければモノを売ることはできませんので必ずあるものです。 ただ、いくらなのかは証明できるようにしておく必要があります。
まとめ
最後に重要なところをまとめます。
- 確定申告は必ず提出しておく
- 他人名義のIDを使用している場合は理由をしっかりと説明する
- 何も資料が残っていなくても必ず発生する手数料や配送料は主張する
- 仕入は明確に区分できるようにしておく
- Yahoo!ウォレットに注意
- 資料(取引履歴、領収書など)は保存しておく
無申告は絶対ダメですからしっかりと確定申告しておきましょう。
その際にYahoo!ウォレットに入金された収入を忘れないように気をつけます。
ヤフオクは一定期間を過ぎると履歴が確認できなくなりますから、確認できなくなってしまう前に保存しておきましょう。
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