【個人の税務調査の実例】現金払いの外注費で領収書が無くても認められた
建設業などでは外注費を現金で支払っていることが多いです。
領収書や請求書など何もないケースもあります。
何も資料が無かった事例で外注費を認められたこともあります。
※ 守秘義務の関係で事実関係を変えているところがあります。
外注費を現金で支払い
建設業では外注費を現金払いしているケースもあります。
仕事現場で現金を渡すことも多く行われています。
仕事の現場で領収書を書いてもらうことは難しく、領収書をもらえないのです。
一人親方の個人事業者から税務調査のご相談をお受けした際も外注費の領収書がまったく無い状態でした。
外注費が認められないとかなりの負担となるため対策が必要な状態でした。
問題は「本当に外注があるのか」
現金払いで外注費を支払っていて領収書が残っていない。
このときに問題となるのは「本当に外注費があるのか」です。
悪い見方をすれば、本当は外注費が無いのに現金で払ったことにして適当に経費にしてしまっているとも見えなくもありません。
当然ながら税務署も疑ってきます。
大切なのは、どうにかして【実際に外注費があった】ことを示すことです。
実際に行った対策
外注費はすべて現金払いをしていました。
現場で現金払いしており領収書などもまったくありませんでした。
幸いだったのは、手帳やカレンダーが残っていたことです。
- 手帳から「いつ」「どこの現場に」「何人いたか」を把握することができた
- 連絡が取れた相手先から領収書を書いてもらった
- 売上げの支払明細書に人工が書いてあった
- Lineのやり取りが残っていた
これらから外注費の金額を計算しました。
手帳から把握
過去の手帳やスケジュール帳が残っていたので、そこから「いつ」「どこに」「何人いたか」を把握することができました。
誰がいたのか、どの外注先かはわかりませんでしたが「3人」と記載があったので自分以外にその現場に3人いたことがわかったのです。
1日の日当はだいたい決まっていますから人数がわかればおおよその外注費を計算できます。
1日2万円で1か月に10人であれば20万円となります。
相手先と連絡が取れた場合
外注の相手先と連絡が取れた場合には、その相手に領収書のようなものを書いてもらいました。
【2022年 300万円 受領しました。】として相手の氏名と住所、押印をしてもらいました。
相手先と金額の確認をしたうえで書面を作成しました。
大切なのは相手先に書いてもらうことです。
売上げの支払明細書から
このときは取引先から毎月支払明細書が送付されていました。
その支払明細書に人工(人数)が書かれていたのです。
どの現場に何人いたか、が書かれていたので外注があったことが明らかとなりました。
取引先が作成した書類に人工が書いてあるわけですから「実際に外注があった」ことは証明できます。
LINEのやり取り
外注先とLINEのやり取りが残っていたことも幸いしました。
支払いは現金でしたので、LINEでお互いに金額を確認していた履歴が残っていたのです。
このLineの履歴を提示することで本当に外注費の支払いがあったことを示すことができました。
調査結果
上記のような対策をすることで外注費については認められました。
ただ、消費税が関係してくると上記の対策では不十分となってしますので注意が必要です。
このケースでは消費税の申告は不要(売上金額が1,000万円未満であったため)でした。
消費税では原則として帳簿と書類(領収書など)が必要となるためです。
まとめ
ポイントとしては、【どうにかして本当に外注費があったことをどうにかして示す】ことです。
現金払いで何も書類が残っていないとなると架空経費を疑われてしまうことがあります。
状況によっては重加算税となってしまう可能性もあります。
一番良いのは領収書をしっかりと書いてもらい保存しておくことです。
私も税務調査のご相談をお受けしております。
お困りの際は下記よりご相談ください。
国税庁にも色々な情報があります。
→ 国税庁
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