【個人の税務調査の実例】知識不足を理由に過少申告ばかりだった
個人の税務調査では、税金のことを知っているかどうかは問われません。
厳しいですが「無知だったから」「知らなかったから」は通用しないのです。
無知だったから過少申告(少なく申告)してしまった、もダメです。
※ 事実関係を変えています。
ずっと少なく申告していたのは無知だったから
運送業である個人事業者から税務調査対応の依頼をいただきました。
従業員は雇っておらず一人で活動されていました。
個人事業主になって10年くらいで初めての税務調査とのことでした。
確定申告はずっと自分で作成して提出されていたようです。
帳簿の作成はしていませんでしたが必要書類はすべて保管されていました。
確定申告書の内容を確認すると、売上金額に対して経費が多く所得金額が少ないように思われました。
細かく内容を確認していくと、売上漏れがあることがわかりました。
ご本人に確認してみると「無知で間違えていた」とのことでした。
売上金額は通帳を見ながら電卓でザっと計算していたとのことでした。
実際に行った対策
- 修正申告書を作成提出
- 売上げを間違えていた理由を説明できるようにする
修正申告書の提出
まず売上金額が違っているので修正申告書を作成提出することにしました。
売上げについては税務調査で細かくチェックされますので間違えている場合は修正申告書を提出した方がよいです。
このケースでは現金売上はなく、取引先は数件で銀行振り込みによる入金のみでしたのでそれほど時間をかけずに計算することができました。
経費については大きく違っているところはないと思われたので売上金額だけを修正しました。
売上金額を間違えていた理由
売上げの間違いについては税務調査で細かくチェックされます。
当初の確定申告でなぜ売上げを間違えていたのかも問われますので答えられるようにしておく必要があります。
今回のケースではご本人は「無知でよくわからなかったから」とのことでした。
ですが、税務調査では「無知だったから」は通用しません。
実際のところどうだったのかを伺ったのですが、よくわからずに間違えてしまったとのことだけでした。
過少申告ばかり
税務調査当日にもやはり「なぜ売上げを間違えていたのか」をしつこく問われました。
今回のケースではすべての年で売上げが違っていたのです。
しかも「すべての年が過少申告(少なく)」でした。
すべての年で売上げを少なく申告していたのです。
本当に税金のことがわからなかったとしても売上金額を間違えてしまうことはあまりありません。
計算の期間がずれていることはあっても、毎年少なく・しかも大きく間違えてしまうことは考えにくいです。
一度でも不正行為があると
一度でも脱税など不正行為があると調査年分が7年分となってしまう可能性があります。
これは事前に修正申告書を提出していたとしてもです。
この税務調査では事前に5年分の修正申告書を提出していましたが、当初に脱税などの不正行為等があったとなると調査年分が7年分となってしまう可能性がありました。
そのため不正行為は絶対にやらない方が良いのです。
税務調査の結果
この税務調査では
- 税理士が関与した
- 事前に修正申告書を提出していた
- 今後はしっかりと確定申告してくれるだろう
ということで7年分にはならず5年分で終了となりました。
事前に提出した修正申告書の内容のままで終了でした。
まとめ
厳しいお話ですが「無知だった」は通用しません。
- 無知であっても売上金額を大きく間違えることは少ない
- 毎年少なく申告しているのはおかしい
- 多く申告してしまっている年があってもおかしくない
よくわからなくて勘違いや間違いは誰にでもあります。
ですが、毎年ずっと少なく申告してしまうのはおかしいです。
逆に多く申告してしまうことだってあるはずでしょう。
本当にわからない場合は一度税務署や税理士に相談していただいた方がよいです。
私も税務調査のご相談をお受けしております。
お困りの際は下記よりご相談ください。
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