個人事業主の税務調査は拒否できる?任意だけど断ることはできない
個人事業主の税務調査は拒否できるのでしょうか?
税務調査は強制調査ではなく任意調査だから拒否できると考えている人も多いです。
結論としては、拒否できません。
任意調査ですが「任意」は税務調査を受けるかどうかの任意ではありません。
この記事の内容について簡単にお話ししました。
税務調査は任意だから拒否できる?
税務調査を強制捜査と勘違いされているケースも多くあります。
映画やテレビでみるような捜査をイメージされるようです。
段ボールに書類をつめて押収されたり、勝手に部屋を捜索されたりすると考えらえるようですが税務調査ではそのようなことはされません。
税務調査は任意調査とされていますので強制捜査ではないのです。 任意だから拒否できるのか?と考えられがちですが、拒否はできません。
税務調査は原則として受けなければならないのです。
細かい法律の話は省きますけども、税務調査は受ける義務があります。
任意なのに断れない?
税務調査は任意調査です。
「任意」というのは受けなくてもいいということではありません。
税務調査を受けるかどうかをこちらで任意に決めていいとうことではないのです。
任意調査と言われるのは、税務署の職員が勝手に引き出しや金庫を開けたり、パソコンを触ったり、資料を勝手に調べることができないということです。
税務署の調査官が引き出しなどを開けて調べたいときにはこちらの承諾を得る必要があるのですね。
そのため「任意調査」と言われます。 「金庫の中をみたいので開けてください」や「この書類を出してください」などこちら側の承諾を得る必要があるということです。
断ればいいのかというとそうもいきません。
税務署の職員は質問検査権という調べる権限があるのです。 その権限があるので断ることができないのですね。
参考 → 税務調査でやってはいけないこと
ずっと断っていても調査はなくならない
「帳簿を見せてください」と言われてずっと断っていると税務署側は強制的に帳簿を押収することはできません。
強制捜査ではないからです。
それで税務調査が進まずに終わるかというと、そんなことはありません。
ひたすら拒否していれば税務調査が無くなる、なんてことはないのです。
税務署側もこちらが協力してくれないと困るわけですが、その場合には反面調査をしたり何かしらの手段で調査を進めることとなります。
実際に調査官から聞いた話があります。
税務調査で自宅に伺ったら玄関先で塩をまかれ「入るな」と追い返されて、まったく調査ができなかったことがあるそうです。 このときは、銀行の取引履歴などから取引先を調べて反面調査をして進めたそうです。
参考 → 反面調査されるのはどんなとき?
様々な影響で中断したり、延期されたりすることはありますが、基本的には税務調査が無くなることはありません。
何も拒否できないわけではない
結局のところ税務調査は強制なのか、と思われるところですが日程の調整はできます。
都合が悪ければ調整してもらうこともできます。 時間の融通もしてくれます。
税務調査当日に急な仕事が入ってしまって時間を短くしてもらったこともあります。
税務調査の結果、間違いを指摘されることもあります。 その際にこちらの主張を伝えることもできますし、主張した結果、税務署の見解が変わったこともあります。
なんでもかんでも税務署の言いなりになる必要はありません。
参考 → 税務署に苦情・クレームを言いたいときは?
税務調査は受ける必要がある
税務調査の連絡があったら基本的には受けなければいけません。 拒否を続けても無くなるなんてことはありません。
断り続けることはできませんから協力するようにしましょう。
ただ、なんでもかんでも税務署の言う通りにする必要はありませんから主張すべきものはしっかりと伝えるようにすべきです。
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